2012年01月28日

消費税増税を考えてみる

東北被災地の復旧・復興が一向に進まない中で、今、国会も世の中も、消費税増税の議論が一番になっているようで、我輩は違和感を感じる。
今、一番重要なことは、被災地の復旧・復興であることは間違いないであろう。それがどうして消費税増税論を今展開しなければならないのか‥、この辺についてちょっと我輩なりに考えてみた。

政府の言い分は、被災地の復興のためにも財源が必要で、将来も考えて今増税を決めるのが妥当だ、ということなのだろうが、これは完全におかしい。復興財源として、11兆5000億円の復興国債(内10兆円が日銀引き受けで、1兆5000億円は個人向け)を発行するようだが(既にしたのか、しているのか‥)、被災地の復旧・復興には、まるで動きがない。瓦礫こそ撤去されたものの(あるところに集めて積まれているらしい)、街がなくなったままなのである。そこで暮らし、商売その他の仕事をしていた人たちは、どうしているのだろう。街としての機能が麻痺した状態(と言うか、なくなった状態)、このまま放置すれば、再生不可能となり地域が死んでしまう。例えて言えば、ひん死の重傷を負った人に対して先ずすべきことは、手当をすることである。あたりまえのことだ。血をダラダラ流して死にそうな人に、お金がないから手当はできません、と言うのだろうか。先ず手当をし、輸血をし、命を救う事。そして機能を回復し、もとどおりの生活ができるようにすること。お金の問題はその次である。

消費税増税で得たお金を、復興財源にあてるという考えは、何度も言うようだが完全におかしい。その考えによれば、増税で税収が増えたら復興にあてるということで、それまでひん死の重傷患者を放っておくと言うのか。ありえないだろう。
それにそもそも、増税したからといって税収がアップするとは限らない。いやむしろ、今このデフレ期に増税すれば、税収がダウンするのは目にみえている。結果、被災地は見殺しだ。

我輩は、いつどこでかは忘れたが、昔習った覚えがある。景気を良くするためには減税し、景気を抑えるためには増税をする。経済政策の基本である。要するに増税というのは、景気を抑制するために行なうもので、税収をアップさせるために行なう事ではないようだ。
日本で初めて消費税が導入されたのは、1989年竹下内閣の時だ。この時はバブルで土地の価格がガンガン上がり、インフレである。よって増税は妥当だったのかも知れない。我輩の記憶では、もちろん庶民は消費税に反対したが、中でも消費税にかこつけての便乗値上げが問題となった。便乗値上げを良しと言うつもりはないが、その時の状況は、値上げをしても物が売れていたのである。

今、このデフレ期に、消費税率を上げたらどうなるだろうか。
我輩の実家も商店を営んでいるが、消費税率が上がっても、上がった分の税金を商品価格に上乗せすることはできないだろうと言っている。要するに上がった税金は商店が負担することになるのだ。それもそのはずである。兎に角このデフレ期では、商店どうしの価格競争がし烈で、安売り合戦なのである。消費税率が上がったからといって、値上げできるはずがない。値上げすればお客を取られるのである。

結果どうなるか。
小さい商店は経営状態がさらに悪くなり、つぶれる。大手は体力があるのでつぶれることはないにしても、さらに合理化を進めざるを得ず、リストラや賃金カットが行われる。

結果どうなるか。
失業者が増え、増々不景気になり、税率を上げたにもかかわらず、税収はダウンする。
そしてさらに、失業者対策としての金も必要になる。

そして最悪の結果として、日本がつぶれる‥‥と言うまでには、まだまだ時間がかかるだろうが、ここでの増税は確実にその方向へ一歩進むことになるだろう、と我輩は思うのである。まあそうなったら、東北は本当に放置されるかも知れないので、一歩どころでは済まないかも知れない。

今なすべきことは、増税ではなく、景気を良くすることである。
政府民主党にも、デフレ期に増税しても税収が上がらないことに気づいたものがいるようで、税率アップは2014年からで、それまでに景気を良くすると言いだした。しかしこれも可笑しな話である。よしんば本当に景気が良くなって、税収が上がったとしても、2014年まで東北は放置すると言うのか。復興国債で得た11兆では、到底足りないと思うのだが。そもそも民主党政府には、東北をどうやって復旧・復興させるかというアイデアが、全くないのだと思う。財源、財源と言っているが、お金があっても彼らにはできないのだ。だから進まない。消費税なんていう先の話をしている。
それに、2014年までに景気を良くすると言っても、それに対する手立てを何一つ打っていない。景気対策⇒増税という順番のはずが、増税を先に決めてその後景気対策をすると言っても、既に順番が逆であり、信用できないだろう。彼らに景気対策が出来るとも思えないし。(公共投資を悪としているようではダメだろう)

兎に角、被災地の復旧・復興を進めながら景気を良くすること。これが第一であると我輩は思うのだ。
復旧・復興を進めることで景気は良くなると我輩は思うし、そう思った人は多いだろうとも思う。それが進まないのはなぜか。政府に案がないからである。‥と思う。
ひん死の重傷患者には、輸血を急がねばならない。血液が減り過ぎれば死んでしまうからだ。血液とは何か。お金である。先ず沢山お金を用意すること。復興国債なんて特別なものでなくても、普通に建設国債を発行して全て日銀引き受けで財源を作る。非常事態なのだから当然である。そしてそのお金の使い道を知恵を絞って考え、復旧・復興を進めて行けば、おのずと景気も良くなるだろう。

1.先ず被災した街を作り直すこと。
2.被災者の債務について国が手当すること。
3.全国の原子力発電所の防災対策。
4.全国の防災対策

これらを公共投資で行うこと。
1.については、ある人のアイデアがある。被災して仕事を失くした人たちを、政府が臨時の公務員として雇い、給料を払って自分たちの町を再建させる。という案である。復旧・復興の第一歩は、先ず元通りに直すこと。これが基本である。その上で、そのままではまずい所、地形が変わって元通りにはできない所、などは改善すればよいのである。防災都市計画などをはなから持ち出して検討してからなどと言っていては、埒があかない。
2.については、ニ重債務が一番の問題になるだろう。これについては国が手を差し伸べる以外にあるまい。
3.は急務である。現在の日本で原子力なしの安定エネルギーは考えられない。将来、別のエネルギーを主力にできたとしても、現状は原発に頼らざるをえないだろう。また、外国が原発を行っている以上、日本も原発を完全に廃止することは、安全保障上できない。
4.日本は世界有数の災害国であり、ここに住む以上、この1000年に一度の大災害を教訓に、防災対策の強化を続けていくのは当然である。

建設国債を日銀引き受けで発行することに異を唱える人も多いと思う。我輩としては、国債の日銀引き受けなんてまだるっこいことをせずに、直接政府通貨を発行すれば良いとすら思っている。
通貨が世の中に多く出回れば、それだけお金の価値が下がってインフレになると言うのだろう。のぞむところである。今はデフレなのだ。しかももの凄い円高。さすがの日本もこの円高で輸出が伸びず、貿易収支が赤字になった。これが続けば、それこそ日本が危なくなる。円高を抑制するためにも、通貨量を増やすことは理にかなっている。もちろんとんでもないインフレになっては困るので、そこは調整も必要だろう。ややインフレという状態が、国の経済状態としても好ましい。

財政再建を言う人もいる。そもそも財政再建とはなんであろうか。借金を減らすこと? 先ず知らねばならないことは、国の財政再建と地方自治体の財政再建は違うということだ。地方自治体の財政再建は、借金を減らすことと言ってもいいだろう。会社や家庭の財政再建も同じである。借金が返せなくなれば破産する。しかし国は違う。なぜならば国には通貨発行権があるからだ。いざとなったらお金を刷って返せば良いからである。まあむやみにそんな事をすれば、通貨の信用を失うけれども、要はバランスである。
ちなみにギリシャはユーロの発行権がないので、ああいう状況になっている。日本がどんなに政府の借金が多くても、ギリシャとは全く違うということを知ってもらいたい。しかも、日本政府の借金は、そのほとんどが国民から借りている。よって政府にとっては負債だが国民にとっては資産であるから、外から見ればチャラである。要するに家族で親が子供にお金を借りているようなもの。国際的には問題にならない。

さて、では国の財政再建とは何か。経済学者の三橋貴明氏が、自身のブログにIMF(国際通貨基金)による財政再建の定義を上げている。それによると、財政再建とは、「債務比率の減少」すなわち政府の負債残高対GDP比率の低下を言うようだ。なるほど。政府の借金÷GDP の値を減らすことが財政再建なのだ。もちろんこれは、日本以外の国についても同じである。
ということは、なにも政府の借金を減らすことだけが財政再建ではないのだ。GDPを上げる事。すなわち景気を良くすることでも財政再建はできるのである。

復旧・復興の公共事業や公共投資によって景気を良くすること。景気が良くなれば、GDPも上がるし、税収も上がる。一石三鳥である。
消費税増税については、将来を考えれば社会福祉の関係で必要になるかも知れない。しかし、今やるべきことは、それではないだろう。景気を良くすること。消費税増税はその後に考えるべきことと思う。


タグ:消費税 増税
posted by 伊勢古十郎 at 00:28| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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